チャート式、とりあえず青を買ってしまっていませんか?
「チャート式を買って数学を勉強しよう」と思って書店に行くと、青チャートを手に取る受験生が多いです。「難関大を目指すなら青チャートがいい」「青チャートをやれば数学は大丈夫」という声をよく聞くので、なんとなく青を選んでしまう。
でも実際には、自分のレベルに合っていない色を選んで途中で挫折する受験生が後を絶ちません。青チャートは確かに優れた参考書ですが、偏差値50以下の受験生がいきなり使っても解説が理解できず、消化不良で終わることが多いです。逆に偏差値60以上の受験生が白チャートを使っても、物足りなくて力がつきません。
チャート式の最大のポイントは「自分のレベルに合った色を選んで、1冊を完璧に仕上げること」です。この記事では色別の選び方と正しい使い方を解説します。
チャート式とは何か
チャート式は数研出版が出版する網羅型の数学参考書シリーズで、大学受験の数学参考書として最も広く使われているシリーズのひとつです。多くの進学校で副教材として採用されており、名前を知らない受験生はほとんどいないといってもいいくらいの定番参考書です。
チャート式の特徴は「網羅性の高さ」です。大学入試で出題される典型的な解法パターンがほぼすべて収録されており、1冊を仕上げれば出題パターンの引き出しが大幅に増えます。
ただし、網羅性が高い分問題数が非常に多く(1科目で300〜400問程度)、1冊を完成させるのにかなりの時間がかかります。「とりあえず買ったが途中で終わった」という受験生が多いのは、この問題数の多さが原因です。チャート式を使うなら「全問を完璧に仕上げる覚悟」か「基本例題に絞って効率的に進める方針」のどちらかを最初に決めておく必要があります。
チャート式はあくまで「解法の引き出しを増やすためのインプット用参考書」です。チャート式だけで受験を乗り切ろうとするのではなく、チャート式で基礎〜標準の解法を身につけた後、過去問演習でアウトプットの練習をするという流れが正しい使い方です。
色別レベルと向いている受験生
白チャート:基礎固め・共通テスト基礎レベル
白チャートは4色の中で最も難易度が低い参考書です。教科書の内容を丁寧に復習しながら基礎的な解法を身につけることができます。
白チャートが向いている受験生は、教科書の例題を解くのも難しいと感じる人、数学の基礎から固め直したい人、共通テストで5〜7割を目標にしている人です。白チャートを完璧に仕上げれば共通テストの基礎レベルには対応できます。ただし白チャートだけでは共通テストで高得点を安定して取るには不十分なので、仕上げた後は共通テスト対策問題集で演習を積む必要があります。
白チャートを使う際の注意点として、「解説が理解できるか」を問題ごとに確認しながら進むことが大切です。理解できない問題が続く場合は、教科書に戻って公式の確認から始めましょう。
黄チャート:標準レベル・日東駒専〜MARCH
黄チャートは白チャートより一段難易度が高く、教科書の内容が理解できている受験生が典型問題を網羅するのに適した参考書です。日東駒専・成成明学レベルから、やり切ればMARCH・地方国公立レベルまで対応できます。
黄チャートを選ぶべき受験生は、教科書はある程度理解できるが入試問題になると解けない人、数学の偏差値が50前後の人、日東駒専〜MARCH文系を目指している人です。「自分のレベルがわからない」という場合は黄チャートから始めるのが無難です。青チャートより問題数が少なく(100問程度の差)、1冊を仕上げやすいという利点もあります。
黄チャートは「教科書レベルは理解しているが、入試問題に慣れていない」という受験生に最もフィットする参考書です。問題の難易度が適度で、解説も読んで理解しやすい水準なので、挫折せずに1冊を完成させやすいです。
青チャート:難関レベル・MARCH〜旧帝大
青チャートは最も多くの進学校で採用されている定番参考書で、MARCH・関関同立から旧帝大レベルまで幅広く対応しています。問題の難易度と網羅性のバランスが高く、1冊を仕上げれば難関大入試の典型問題への対応力が身につきます。
青チャートが向いている受験生は、教科書の内容を余裕を持って理解できる人、数学の偏差値が55以上の人、MARCH以上の難関大を目指す理系受験生です。偏差値50以下の受験生にはレベルが高すぎて挫折するリスクがあります。「難関大を目指しているからとりあえず青チャート」という選び方ではなく、「今の自分の偏差値で青チャートの解説が理解できるか」を確認してから選びましょう。
青チャートの問題数は非常に多く、I・Aだけで300問以上あります。すべての問題に等しく取り組もうとすると時間が足りなくなります。コンパスマーク(難易度表示)が3以下の基本例題を中心に進め、コンパス4・5の難問は余裕があれば取り組むという方針が現実的です。
赤チャート:最難関レベル・旧帝大上位・医学部
赤チャートは4色の中で最も難易度が高く、旧帝大上位(東大・京大など)や医学部で数学を得点源にしたい受験生向けの参考書です。解説が詳しく、コラムで数学の背景知識まで扱っているため、「数学を深く理解したい」という人には刺さる内容です。
ただし赤チャートが必要な受験生は限られます。東大・京大志望でも、青チャートをしっかり仕上げて過去問演習に入った方が効率的という意見も多いです。「志望校が難関だから赤チャートを使う」という判断をする前に、青チャートを完璧に仕上げることの方が優先度が高いです。
赤チャートは解説が詳しく、数学の背景まで扱っているため、「数学をより深く理解したい」という知的好奇心がある人には向いています。一方、受験対策として効率を重視するなら青チャート+過去問の方がコストパフォーマンスは高いです。
自分に合う色の選び方
書店で実際に確認する
チャート式を選ぶとき、必ず書店で実物を開いて確認しましょう。気になる色の例題を5問ほど読んで「解説を読んで70〜80%は理解できるか」を確認します。ほとんど理解できない場合は一段下の色を選ぶ、全問すらすら解けるなら一段上の色でも構いません。
「レベルが高い参考書を使った方が力がつく」という考えは間違いです。解説を読んで理解できないレベルの参考書を使っても時間の無駄になります。
自分のレベルより少し上の問題集を使う方が成長できるというのは正しいですが、「少し上」であることが重要です。解説を読んでも半分以上理解できないレベルは「少し上」ではなく「大幅に上」です。自分のレベルに合った色から始めて、仕上げたら次の色に挑戦するという順番が最も効率的です。
学校で配られた参考書を優先する
学校でチャート式を配られている場合は、まずそれを使いましょう。参考書を変えると最初からやり直しになります。「他の色の方がいいんじゃないか」と思っても、今使っている参考書を完璧に仕上げた後で判断しましょう。
チャート式の正しい使い方
基本例題に絞って進める
チャート式には「基本例題」「重要例題」「演習例題」とレベル別に問題が分かれています。特に時間が限られている受験生は、まず基本例題だけに集中しましょう。
基本例題を全問解けるようになってから重要例題・演習例題に進む順番を守ることが大切です。すべての問題を最初からやろうとすると、問題数の多さに圧倒されて挫折します。「基本例題だけを完璧にする」という目標を立てると、ゴールが明確になって取り組みやすくなります。
解答を閉じて解き直す
どの問題に取り組む場合も「解答を見て理解して終わり」にしないことが重要です。解答を読んで理解したら、解答を閉じてもう一度白紙に自力で解き直す。この手順を省略すると「解説を見れば理解できるが自力では解けない」という状態のままになります。
解けなかった問題は翌日また解き直す。数日後にまた解く。この繰り返しで解法が本当に定着します。
「指針」を重視する
チャート式の各例題には「指針(CHART)」という解法の方針を示すコーナーがあります。問題を見たときに「なぜこの方針で解くのか」を理解することが、チャート式を使う上で最も重要なポイントです。
解答の手順を覚えるだけでなく、「なぜこの解法を選んだのか」を理解することで、似た問題に応用できる力がつきます。問題を見たとき、まず「指針に書いてあることを自分で思い浮かべられるか」を確認しながら進みましょう。
問題を記録して復習を管理する
各問題の横に「○(解けた)」「△(時間がかかった)」「×(解けなかった)」を記録し、解いた日付も書きましょう。2周目は△と×の問題だけを解き直すことで、効率よく復習できます。3周した後に「全問を解答なしで解ける」状態になっていれば、次のステップに進む準備ができています。
この記録をつけることで、「自分がどの分野でよくつまずくか」のパターンが見えてきます。苦手分野が特定の分野に偏っている場合は、その分野を集中的に繰り返すことで効率よく克服できます。
チャート式を使うときのよくある失敗
全問をやろうとして挫折する
チャート式の最多の失敗パターンです。1科目で300〜400問ある問題を全部やろうとして、半分も終わらないまま入試を迎えてしまう受験生が毎年多くいます。
基本例題から始めて、完璧にできるようになってから次のレベルに進む段階的な方針が重要です。「基本例題だけでも完璧にした人」の方が「重要例題まで中途半端にやった人」より確実に実力がつきます。
「全部終わらせないといけない」というプレッシャーを感じたとき、基本例題だけでも完璧に仕上げることに目標を切り替えましょう。基本例題が全問解ける状態になれば、その参考書の恩恵の大部分は受けられています。
解説を読んで終わりにする
解説を読んで「なるほど」と思っても、解答を閉じて自力で再現できなければ力はついていません。「解説を読む→閉じて解き直す」のセットを毎問徹底しましょう。
解き直しの際は、解答の「流れ」だけでなく「なぜこの方針で解くのか」という理由まで自分で言えるようになることを目標にしましょう。解法の手順を覚えるだけでは、問題の形が少し変わると対応できなくなります。
途中で別の色に乗り換える
「黄チャートを使っていたが、もっと難しい青チャートに乗り換えよう」という判断を途中でするのはほぼ確実に失敗します。どちらも中途半端になります。選んだ1冊を完璧に仕上げてから次を検討しましょう。
なお、黄チャートを完璧に仕上げた後に青チャートに進む場合、青チャートのすべての問題をやり直す必要はありません。黄チャートでカバーできていない難易度の高い問題(コンパス4・5)を中心に取り組むだけで十分です。
まとめ
- 白:教科書レベルの基礎固め・共通テスト5〜7割を目指す人
- 黄:標準レベルの典型問題習得・日東駒専〜MARCH
- 青:難関レベルの網羅的演習・MARCH〜旧帝大
- 赤:最難関レベル・旧帝大上位・医学部で数学を武器にしたい人
「自分のレベルに合った色を1冊完璧に仕上げること」が、チャート式で成績を伸ばすための唯一の正解です。チャート式を選んだら、まず基本例題から始めて「解答を閉じて解き直す」サイクルを毎問徹底してください。
最後に、チャート式は「辞書として使う」という活用法もあります。問題集を解いていて解法がわからなかったとき、その分野をチャート式で調べると、関連する解法や類題が見つかります。自分で1から進める問題集として使うのが理想ですが、他の問題集と併用して辞書代わりに活用するのも有効な使い方です。
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